アリババとテンセントが相互開放するとどうなるか



 中国が独占禁止に本腰を入れています。アリババとテンセントも自分のテリトリーを開放せざるを得なくなります。
 以前の「アリババとテンセントが休戦?」では下記の通り分析し、アリババにとってのメリットがかなり大きいと思いました。
しかし、その後


 アリババの張勇CEOが「政府の要請に従い、テンセントと相互開放を検討」と公式の場で述べました。このニュアンスがどうもおかしいと考えています。アリババのメリットが大きいのであれば、もうすこしトーンをあげて発表してもいいかなと・・
 そこでいろいろ考えました。
 相互開放後のイメージを想像すると、確かにTAOBAOのリンクがWECHAT内で容易に共有できるようになり、その分のデータ量が増えるでしょう。一方、今後WECHATがTAOBAOの入り口になると、アリババにとっては好ましい状況ではなさそうです。
 WECHATもTAOBAOも両方ともスーパーアプリです。
 下図はWechatPayの中の一部のサービスです。
 融資、保険、携帯料金、公共料金、ボランティア、医療、ワクチン証明証、ホテル、新幹線、映画館等数十種類のサービスが入っています。このサービスを提供する一員になるために、WechatPayのサービスプラットフォームで順番に申請し、指定のAPIを使って、構築すればいいです。もはやアプリでなく、OSですね。

 この中にはDIDIやPDDもMEITUANも全部入っていますね。

 次にTAOBAOの一部を見てみましょう。テンセントが提供するサービスはもちろん、飛行機ticket、オクション、メルカリのような中古品売買も提供しています。


 余談ですが、下図は孫さんのPAYPAYのサービスです。まだスカスカですが、日本一のスーパーアプリです。

 ほぼ同じですね。投資した中国の会社が先行したサービスをそのまま日本に持ち込んでいます。そして大ヒットさせています。さすがタイムマシン経営者!孫さんはVisionファンドで群戦略を展開するために世界に投資をしています。世界中のアイデアが孫さんのところに集約されます。それを組み合わせながら、違う国で運用するとまた相乗効果が出そうですね。

 話を戻します。アリババとテンセントはそれぞれOSに近い機能のプラットフォームを持っています。今まではいろんな分野で手下(投資した会社)がバトルを繰り返していますが、まさかいきなり本体同士が雌雄を決する場面になってしまいますね。
 相互開放すると、アリババのTAOBAOも先ほどのWechatプラットフォームに入ることができるになるでしょう。それで、今までTAOBAOアプリという入り口からのみでなく、WechatからでもTAOBAOに入ることができるようになります。アリババの顧客が増えるでしょう。
 しかし、ユーザが習慣化すると、TAOBAOアプリから入らなくなり、みんなテンセントのWechatから入るようになると、アリババにとっては非常に不利になるでしょう。買い物だけのお客はもちろん歓迎するが、TAOBAO内のいろんなサービスを利用してもらうのが目的でしょう。
 一度Wechatに入ってもリダイレクトリンクでTAOBAOアプリに戻すということも可能でしょうけど、TAOBAOが削除されてしまう可能性もあります。
 現に私は中国に戻る際に、いろんなアプリがあるのが煩雑で、Wechaで完結できるアプリを全削除しました。DIDIやフードデリバリー等・・
 なので、TAOBAOの入り口がWechaになるという印象が残るとアリババにとって非常にまずいことになると思います。
 また、TAOBAOの入り口ができると、テンセントは何の問題もありませんが、PDDやJD等アリババのライバルにとっても不利な展開かもしれないですね。
 例えば、LineからAmazonへの専用の入り口が1つできてしまうと、AMAZONアプリの訪問数が落ちるでしょう。AMAZONアプリだったら、AMAZONの自由度が高いはずで、LINEの中のAMAZONプログラムの命がLINEアプリが握ることになりますね。

 と言っても、アリババの経営層が私より何万倍も賢い人間なので、それぐらいはわかるはずで、対策もできるでしょう。
 下がったら、コツコツ拾いますよww

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